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SDGsコラム 第8回「気候変動(地球温暖化)について・その8」

SDGsコラム

2023年1月29日

SDGsコラム 第8回「気候変動(地球温暖化)について・その8」

こんにちは。ATC環境アドバイザーの立山裕二です。これまでエコプラザカレッジの講師として、また環境ビジネス情報の記事などを執筆させていただいておりました。

今回も、前号に引き続きSDGsの重要な課題でもある「気候変動(地球温暖化)」について書かせていただきます。

ただし、前回同様、気候変動にこだわらないことをお断りしておきます。

目からウロコのエコ活動

前号の説明は、少し理屈っぽかったですね。でも、私の願いを理解してくれてとても嬉しく思います。

子どもから大人まで、一緒になって考え、実践することが環境問題を解決するための重要点です。どんな活動でも実践し続けることが成功のポイントです。

ヒントになるかどうかは読む人次第ですが、なるべく楽しみながら継続できるような具体例を紹介してみたいと思います。
なお、「こまめに電気を消そう」とか「分別しよう」というような基本的なことはそれぞれの専門書に譲り、ここでは「目からウロコが落ちるような」「しかし、考えてみれば当たり前のこと」を取り上げています。

これまでに書いたこともいくつか登場しますが、とても大切なことと考えてのことです。すでに知っているという方も、真っ白な心で読んでみてくださいね。新たな発見があるはずです。

1.どちらが地球に優しい?

1998年に、拙著『だれも教えなかった環境問題』(総合法令出版)で「お皿に付いたマヨネーズを水で洗うのと、ティッシュで拭き取るのとではどちらが地球にやさしい?」という質問に対して、「どちらでもなく、お皿をなめたらいい」と書きました。
そして、「AかBかの二者択一の議論になっていると気づいたら、視点を変えてCとかDのより本質的な答えを見つけよう」と提案しました。この本は、環境本には珍しく1万部以上売れたので、いろんなところで紹介されて、思いのほかこの発想が広がったことがあります。
実は、この他にもたくさん「目からウロコのエコ(ちょっと変わったエコ)」があります。おじいちゃんやおばあちゃんがしていた昔ながらの知恵や、小さな子どもが何気なくしていたハッとする方法などを紹介しています。
おそらくお読みになっている過程で、いろんな懐かしい方法を思い出すと思います。そんな時は、積極的にブログに書いたり、新聞に投書するなどして、世の中に知恵を広げてくださいね。

2.カレー皿の究極洗浄法

以前、テレビで水の汚染問題についての特集があり、(当時)7歳の息子と5歳の娘と一緒に見ていました。その中で、「カレーライスの究極洗浄法」が紹介されていました。

  1. 残ったカレーをテレホンカードでこすり取る、
  2. 残ったご飯カスを水でふやかし、分離したご飯をされ濾過する、
  3. スポンジに少量の洗剤をつけてお皿を洗う、

というものでした。

私自身は「あれっ?」という感覚でしたが、息子と娘がどう反応するかが見たくて、何も言わずにいました。以下が、そのときの2人の反応です。

「何でプラスチック製のテレホンカードを使うの?ほかのモンでもいいんのちゃう?(ほかの物を使ってもいいのでは?の大阪弁)」、「お皿をなめたらいいやん」、「パンでお皿を拭いて、そのパンを食べたらいいやんか」。

これを聞いて、「なかなかやるじゃないか」と思いましたが、少し恥ずかしさを感じました。

というのは、私自身がカレーを食べる際にいつもしていることだからです。さすがに人前でお皿をなめることはありませんが(家族しかいなければなめますが・・・・子どもたちはそれを覚えていたのでしょうか????)、パンがないときは指でこすり取ることはしょっちゅうです。しかも鍋に残ったカレーもきれいに平らげてしまいます。もちろんティッシュでもフキンでもなく、指を使って・・・・。

ところで、番組を見ていて、「捨てた食べ物イコール汚れ」と表現していたことには、少々がっかりさせられました。捨てた食べ物は栄養であり、汚れではありません。そうでないと、私たちは「汚れたものを食ていた」ことになります。
捨てた食べ物が「腐敗するなどして結果的に」水を汚すことになるのです。
捨てた直後は、「肉は肉」「ケーキはケーキ」「マヨネーズはマヨネーズ」「カレーはカレー」です。つまり、「ご馳走」であり「栄養」そのものなのです。

栄養はいのちを育むもの。その栄養を捨てることで結果として水が汚れ、いのちを奪う。この矛盾に気づくことが大切だと思います。ぜひ、このことを取り上げた番組を創ってほしいものですね。

嬉しいことに、この番組では「食後のお茶碗にお茶を入れる→たくわんで洗って付着しているご飯やおかずを洗う→そのお茶を飲む」という昔ながらの方法も紹介していました。栄養も水も無駄にしない。これは素晴らしいことだと思います。番組の名誉のために、ここに付け加えさせていただきました。

ただ番組では、カレーを究極の洗浄法と紹介していましたが、私はこちらの方が究極だと思います。順番が逆だったら、完璧だっただけに少し残念です。

3.究極の「ペットボトル洗浄法」

「ペットボトルを回収する際には、よく水洗いすること」という行政の指導に対して、「面倒くさい」、「もったいない」とか「水洗いすることで、かえって汚水を流してしまう」という意見があります。

一方で、「洗浄しなければ腐って悪臭を発する」、「伝染病の原因になる」ことがあり得ます。
皆さんはどう思われますか?

ここでとっておきの(当たり前の)方法をご紹介しましょう。
それは、「たとえばジュースを飲んだ後のペットボトルに少量の水を入れ、よく振ってその水(薄いジュース)を飲む」ということです。人間浄水器を使おうという訳です。もちろん牛乳パックでも同じことです。

実は、この方法は、息子が4歳の時に実際に行った方法なのです。息子はいとも簡単に「水を汚さない」「ジュースを残さない」「栄養を無駄にしない」「ペットボトルを洗浄する」ことを同時に達成してしまったのです。

当たり前のことのようですが、私はそれまで恥ずかしながら気づきませんでした。素直に息子に頭を下げるしかありませんでした。

息子はもちろん「環境を守ろう」としたわけではありません。ただ、いやしかっただけなのでしょう。ひょっとすると「いやしさが地球を救う!」のかもしれませんね。

このようなアイデアは、子どもほどよく思いつきます。子どもから学ぼうという姿勢も非常に大切です。

ただし、ペットボトルや紙パックではなく、リターナブルびんが望ましいことは言うまでもありません。
甘いものの取りすぎにも注意しましょう・・・・念のため。

4.納豆のトレイ洗浄法

タレや醤油のついたネバネバは、かなり洗いにくいですね。
そんな時、少量の牛乳を入れて、よくかき混ぜ溶かします。豆乳なら、なお良しです。

「それをどうするか」ですって?

もちろん飲むんです。これがけっこう美味しいのですよ。
そして、飲み終わったら、少量の水を加えてかき混ぜます。また、それを飲みます。
牛乳分がなくなるまで、これを数回繰り返します。

後は自然乾燥させて、回収箱へ。やってみる価値ありますよ。

これに関して、「納豆菌で水を浄化するような番組を見たことがあるのですが、油のように環境を汚染せず、かえって排水を浄化してくれるのなら、普通にゆすいでもいいのではないでしょうか」という質問がありました。

もし廃水管内に納豆菌が生育できる環境があればいいのですが、水道の塩素や洗剤によって死滅してしまう可能性が強いと思います。しかも納豆菌で廃水を浄化する場合は、それなりの条件と設備が必要です。
それと、タレや醤油をかけて食べる人が多いと思いますが、水洗浄によってこれらが流出し、環境に負荷をかけてしまうことになります。

そんなわけで、私は水でゆすぐことを避けています。ただし、もちろん人に押しつけることはありませんので、ご安心ください。

このようなアイデアをみんなで考えることをお奨めします。

5.エアコンの設定温度は初めが肝心

ある冬のことですが、「暖房温度を官庁は19°Cに設定するように」という政府のお達しがありました。そのとき公務員から「(19°Cでは寒くて)つらい冬になりそう」との声が上がったそうです。

さて、そもそも19°Cって、寒いですか?
寒い冬から抜けた春先だったら15°Cあれば「ポカポカ陽気」です。暑い夏→暖かい秋→ほんの少し寒い晩秋→暖かい初冬。この流れが寒い冬を迎えたとき、一層寒く感じてしまうように思います。

ここでポイントは「晩秋」の過ごし方です。ここで過剰な暖房をしてしまうと、19°Cでも寒く感じてしまいます。夏の19°Cは寒すぎますよね。体感温度は、周囲の環境(温度・湿度・風速)などに大きく作用されるものなのです。もちろん地域によって異なりますが、初冬の時期をできるだけ暖房しないで過ごすことで、真冬の15°Cがとても暖かく感じるはずです。

そもそも「頭寒足熱」という言葉があるにも関わらず、わざわざ電気を使って(電気代を費やして:エネルギーを使って:資源を消費して)能率を悪くすることはないと思うのですが・・・・。

私の経験では、頭の付近で15°C、足もとで18°Cくらいが一番能率が上がるようです。一説によると、記憶力は5°Cくらいが最高で、21°Cになると一気に落ちるとか。確認はしていませんが、何となく分かるような気がします。もちろん夏も同様に、暑くなり始めた頃にできるだけ設定温度を上げておくか、エアコンを使わないでおくと、後々の省エネにつながります。
何ごとも初めが肝腎ですね。

6.自分で停電・断水日などを決める

夏至や冬至に「キャンドルナイト」というキャンペーンが行われています。「(夜の2時間程度)人工の照明を消して、ろうそくの炎を灯して心豊かな時間をすごそう」というものと理解しています。ただ私としては、もう少し楽しみたいので次のようなことをして遊んでいます。

月に1回とか季節に1回とか定期的に、今日は「停電の日」「断水の日」「ガスが出ない日」と決めます。もちろん複数決めてもOKです。
例えば停電の日であれば、丸一日、あるいは数時間くらい電気を一切使わずに生活してみるのです。私はまだまだホンのたまにしかできていませんが、これから少しずつ機会を増やしていきたいと思っています。実施するために話し合いをするので家族団らんの時間も持てて、案外楽しいかも知れませんよ。

7.「まにあってます」のススメ

これは友人が発案したアイデアです。
身の回りを見渡すと、「まにあっているもの・こと」がたくさんありますよね。私たちは贅沢に贅沢を重ねてしまい、それが当たり前のような時代になってしまったようです。

『足るを知る』こころ。まさに『まにあっています』の神髄です。「モッタイナイ」に続いて世界に発信したい言葉です。

「マイカーいかがですか?」・・・・「自転車で、まにあってま~す!」
「クーラーいかがですか?」・・・・「うちわで、まにあってま~す!」
「レジ袋をいかがですか?」・・・・「風呂敷で、まにあってま~す!」

消費の衝動に駆られた時、「まにあってま~す!」とつぶやくと効果てきめんです。まずはお試しあれ!

温暖化を防止しようと呼びかけると必ず出てくる「できない理由や言訳」・・・・「完全に、まにあってま~す!」

8.冷蔵庫は隣のスーパー

ある知人の家には冷蔵庫がありません。夏でもまったく困らないそうです。知人いわく、「ボクの冷蔵庫は隣のスーパーだ。必要な時は取りに行けばいい(買いに行けばいい)」。
何とそのために、スーパーの隣に引っ越してきたとか!

エコって、奥が深いですね。

9.鉢植えのケナフをスダレ代わりに

これも知人が実践していることですが、太陽の当たる側の窓やベランダで鉢植えのケナフを育てています。
スダレの代わりになり、日よけにもなります。しかも、ケナフから発散する水分の蒸散作用で気化熱を奪い、結構涼しくなるようです。まさに連続打ち水効果ですね。鉢植えですから、(水分や栄養の独占などで)他の植物の生育を妨げることがありません。また成長したケナフは紙にするそうです。

以上のように、「目からウロコのエコ(ちょっと変わったエコ)」は、工夫次第で環境保全になるだけでなく、楽しくて、家計を楽にもします。

「環境のために頑張るぞ」と力を入れすぎて途中で挫折するよりも、楽しい分長続きするので、結果的に環境負荷の低減につながります。

らそのうち、周囲から「あなたの家庭は環境に優しいですね」と称賛されるようになり、いつのまにか本当に「環境に優しい人」になっているかも知れません。

10.11.12・・・

あなた自身で考えてみてください。

コラム著者

サステナ・ハース代表、おおさかATCグリーンエコプラザ環境アドバイザー

立山 裕二