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郡嶌コラム 第13回「毎日が環境の日」【最終回】

郡嶌コラム

2021年6月30日

郡嶌コラム 第13回「毎日が環境の日」【最終回】

同志社大学名誉教授・おおさかATCグリーンエコプラザ顧問の郡嶌 孝氏による特別コラムの第13回を配信いたします。

今回をもって、郡嶌 孝氏による特別コラムは最終回となります。
読者の皆様には、長い間ご愛顧いただきまして感謝申し上げます。


6月5日は「環境の日」。そして、6月の一ヶ月は「環境月間」である。これは、1972年6月5日から16日までスエーデン・ストックホルムで開催された「国連人間環境会議」を記念して定められた。国連においても、6月5日が「世界環境ディ」である。

「国連人間環境会議」は、「環境」をテーマとして初めて開催された国際会議である。以降、10年ごとに「環境会議」は開かれてきた。何故、最初の国際会議がスエーデンで開催されたのか。スエーデンにとって、環境問題は国際問題であった。酸性化問題は、その代表的なものである。その発生源は海外にあり、偏西風によってその被害が国内の湖沼に及ぶものであり、自国だけでの対策は事後的なものとなり、国際協力なしに抜本的な問題の解決はありえない環境問題であった。スエーデンにとって環境問題は、初めから、国際的問題であり、国際的課題であった。

酸性化問題ー我が国では、酸性雨問題として知られているが、ー酸性霧・酸性雪等も問題であり、いずれは、土壌の酸性化、湖沼の酸性化、海洋の酸性化の問題となる。一国の取り組みでは限界があるのが、環境問題である。

国連の国際会議は、基本的には、国益を代表する国と国との交渉による国際会議であるが、環境問題は国境を最も簡単に越えるグローバルな問題であることから、そもそも、地球益を代表するグローバルな問題を国益を代表する国家間の国際問題として考えることは、国益が地球益に優先される「駆け引き」のもとでの解決となる可能性がある。「かけがえのない地球」の問題を地球益に立って解決するという枠組みにはなっていない。このため、地球益を代表するであろうと考えられる環境団体・組織等の参加がオブザーバーとして認められ、各国に対するロビー活動が認められている。国によっては、政府代表に環境団体・組織を参加させる試みもなされているが、主流にはなっていない。この第一回の会議は、幾つかの成果をあげるとともに、開発と環境保全をめぐって、深刻な「北と南」の対立を浮き彫りにした。国益が地球益に優先された。そして、この課題こそ、その後の国際会議のあり方を規定する問題となった。

環境月間は、いうまでもなく、「環境について考える」一ヶ月であり、色々な催しや取り組みが繰り広げられる月間である。しかしながら、一ヶ月とはいえ、今日の環境問題の深刻さは、この一ヶ月の取り組みで想起されるような問題ではない。

ドイツの環境団体を訪問した際、壁に貼ってあった「毎日が環境の日」と書かれたポスターが目にとまった。全く、その通りだ。日々の意識、日々の行動が地球と直結している。プラスチックの海洋汚染問題も、その多くは、陸域での我々の行動によるものであり、それが海域に流れ出したものである。米国ワシントン州シアトル市の道路きわの排水溝には「この排水溝はピュージョット湾(海)に繋がっている」との表示ペイントがなされている。それは、交通信号で信号待ちをしている時に目に飛び込んでくる。そして、それは海の問題が陸の問題であり、陸に生きる我々の行動が問題であることを示唆している。このような毎日の行動結果への気づきを「毎日が環境の日」のポスターは教えてくれる。京都の気候変動問題への取り組み、Do You Kyoto?も然りである。Yes、I Do。Yes、We Do。そうありたい。

コラム著者

同志社大学名誉教授・おおさかATCグリーンエコプラザ顧問

郡嶌 孝