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郡嶌コラム 第2回「クール・ビズ」と「関西夏のエコスタイル」

郡嶌コラム

2020年7月21日

郡嶌コラム 第2回「クール・ビズ」と「関西夏のエコスタイル」

同志社大学名誉教授・おおさかATCグリーンエコプラザ顧問の郡嶌 孝氏による特別コラムの第2回を配信いたします。


季節の変わり目が分かり難くなってきている。「今年は例年より早く桜の開花が見られる」とか、「まだ梅雨というのにクマゼミが鳴き始めた」というニュースをよく聞くようになった。季節の風物詩も、最近は、季節の到来・節目を表すものではなく、年中出回るものが常態化しているものもある。季節の音や声、ウグイス、風鈴、虫の音も稀になった。蛍はホテルや旅館のイベント化した感がある。そして、今年は、コロナが、歳時記であるお祭りを中止に追い込んでいる。疫病退散を願う祇園祭も今年は中止。初物を頂くことも有り難くなくなってきた。もちろん、いつから、春、夏、秋、冬と断言していうことはできない。それもあってか、梅雨明けも梅雨明けを断言せずに、梅雨が明けた模様という言い回しになった。

この季節の変わり目とは、暦のうえでは、という前提での話だ。つまりは、暦と現実のズレが段々激しくなってきたと言うことだろう。このズレには気候変動(温暖化)が絡んでいると考えられる。季節を感じる余裕もなくなりつつある。季節は自然の移ろいを認識させる役割を失いつつある。

6月は「夏の衣がえ」の月である。しかし、「クール・ビズ」を取ってみても最近は5月より始まる。当初は、6月1日から9月30日までが、5月1日から10月31日までに、来年からは期間を外して4月1日からの開始となる。キャンペーン費用がかかり過ぎること、ある程度の普及が見られることからの措置であろう。

国における「クール・ビズ」運動の源流は、1979年第二次石油危機にある。羽田孜首相の省エネスーツで話題になった「省エネルック」運動だが、残念ながら、普及・浸透まで至らなかった。2005年「夏場の軽装による冷房節約」運動の一環として、小池百合子環境大臣は「ノーネクタイ・ノージャケット」運動を推進する。環境省は、このキャンペーンに対して、一般公募で「クール・ビズ」との名称を用いることとした。その後、「ノーネクタイ・ノージャケット」から服装の範囲を拡大して、2012年には「スーパー・クール・ビズ」として展開されるようになる。経産省も、2011年新素材による「クールビズテック」を推進した。

国の対策が、省エネ・温暖化にあるのに対して、関西経済連合会等によって始められた「関西夏のエコスタイル」運動は、「関西エコオフィス」運動の一環として開始され、「省エネ」と「リサイクル素材の活用」が目的に掲げられた。1999年には、関西地域の官民連携(関西広域連携協議会や関西広域機構(その後、関西広域連合)との連携による運動として、全国に先駆けて実施される。

「省エネ」のみならず、開始当初には、当時、「エコファッション」を提唱していたファッション・デザイナー古川雲雪さんの「ペットボトルをリサイクルした再生素材」を使ったデザインの「エコスタイル」を提唱していたことは特筆されるべきである。関西での展開は、先見的に、「省エネ」「温暖化」とともに「リサイクル」が考慮されていたのである。この関西の運動は、2005年には、中部圏知事会、四国地球温暖化対策推進連携協議会、九都県市首脳会議との連携、そして、「クール・ビズ」として環境省のもと全国へ拡大したのである。

コラム著者

同志社大学名誉教授・おおさかATCグリーンエコプラザ顧問

郡嶌 孝